《MUMEI》 報われない恋なんて……「よ、よりによってなんで侑くんっ!?」 「今まで何人の子が玉砕したと思ってんのっ!」 「ああいう人は眺めてるのが一番なんだって! も〜バカじゃんっ」 ―――ほんとに、そうだ。 「うん……バカだよね よりによって侑くんに恋するなんて」 芹奈は、涙をぬぐいながら自分を笑った。 「わかってんなら、そんな恋やめちゃえば?」 それは芹奈を気遣ってくれる口調だった。 でもうなずくことはできなかた。 「やめようと思ってやめられるものなのっ?」 そうできたらどんなに楽だろう。 土曜日からずっと何度もそう思った。 でも「報われないってわかってても消えないんだもんっ」 何も考えずに自分の口から出てきた言葉に ふっと何かを開かれたような気がした。 前へ |次へ |
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