《MUMEI》

僕を求めるように陽菜の舌が、妖しく蠢く。
お互いに求め合えてるような感覚が、僕の唇と舌を麻痺させ、胸と下半身が熱を持つ。


けど……


陽菜は馬鹿じゃない。
僕だって…陽菜の言葉に、素直に反応してきたけど、そこまで馬鹿じゃない。


僕から離れ、まだ欲しそうに僕を見つめる陽菜の頬を撫でた。

「陽菜は演技上手いよね…こうゆうのも仕込まれてきたの?」

陽菜の目が変わった。

「……違う」

「じゃあなに?これはどうゆう意味?」

困惑した表情を浮かべ、陽菜は黙ってしまった。

「嘘ばかり吐いてるとね、誰も信用してくれなくなっちゃうんだよ?」

「じゃ…じゃあっ…どうしたらいいの?どうしたら許してもらえるの?」

「真実を話して」

今にも泣き出しそうな陽菜に、そう言うと陽菜は不安気に僕を見た。

「…怒らない……?」

「いいから話して」

「……怒らないって…約束…してください」

僕は陽菜の上体を起こした。
より一層、不安気な表情をした陽菜が、僕を見つめた。

「…早く」

僕が促すと、陽菜は

「……眞希が…怖い…」

と、掠れた声で言った。

「それで?」

「……もう…他の人は…嫌」

「それは嘘だよね?それが僕の求めてる答えだと思ってる?」

僕が怖いのに他の人が嫌だと思うわけがない。
誰にでもわかるような嘘を吐く陽菜が、許せなかった。


陽菜が僕を見てから、大きく息を吐いた。

「……昨日、話したのは本当」

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