《MUMEI》
真実
陽菜は声を絞り出すようにして、そう言うと再び黙ってしまった。

「…ふぅん、それで?終わり?」

そう聞きながら首輪を手にすると、陽菜の表情がどんどん恐怖の色に染まっていく。

「ち、違うの、ごめ…っ」

“ごめんなさい”そう言おうとして、僕の言葉を思い出したんだろう。


『謝れば許されるんじゃない』


自分の言葉を飲み込むように、唇を噛んだ陽菜は俯き、弱々しいのか力強いのかわからない声を出した。

「眞希から逃げたい、もう昔みたいになんか戻れない、もう……もう…全部、やめたい」

「それだけ?違うでしょ?」

軽い興奮状態になっている陽菜に、首輪を付けながら聞くと、陽菜の目から涙が溢れた。

「……先輩に…会いたい…」






わかってた…。


そんなのわかってたのに…僕は、
陽菜の顔を思い切り叩いた。

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