《MUMEI》

私が待ち合わせ場所に着いたのは23時55分。

何とか間に合った・・・。まだ悠斗の姿がない。

後5秒・・・4・・・3・・・2・・・1・・・

「ハッピーバースディトゥーユー・・・

木陰からケーキの箱を持った悠斗が出てきた。

「ハッピーバースディトゥーユー。ハッピーバースディ、ディア

リィ。ハッピーバースディトゥーユー。」

びっくりして何も言えなかった。

「・・・リィ・・・何か言えよ。」

「・・・。」何か言ったら泣いてしまいそうで怖かった。

「やっぱりリィなら来てくれると思ってたよ。」そう言って悠斗は近くにあったベンチにケーキの箱を置いて

私を抱きしめた。

再会の時とは違う温かさがそこにあった。

「野々村理香さん。」

「・・はい。」

「俺と付き合って下さい。」

「はい。」迷いがなかった。

2月29日。私達の誕生日。そして大事な日。4年に1度しかない今日。また4年後もこうしてられたらいいのにね・・・。

私はふと聞きたくなった。

「あのね、・・・

「大丈夫。俺は和輝みたいにリィの傍を離れないから。」

私が聞きたかったことを見据えて言った答えなのだろう。

「・・・ありがとう、悠斗。」

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