《MUMEI》

揺らめく黄金の炎を全身に纏(まと)うスサノオを、空中に唸(うな)り音を響かせて、上下左右から伸びた触手が襲い、串刺しにする・・・・と見るや、すでにそこに姿は無い。
触手の攻撃を嘲笑うように、空中に無数のスサノオが出現した。
それは恐るべきスピードで転移する事により、
残像現象によって生み出された、分身の術だ。
無数のスサノオは、四本の腕に握った剣を振り回し、次々と触手を叩き落とす。
ナイアーラトテップの
幾千幾万の眼が、そのスサノオの動きを追い、
無表情にギロッ、ギロッと動いている。
それはあたかも、次にスサノオが出現する場所を冷静沈着に計算しているかのようだ。
それを示すかのように、
スサノオを襲う触手の
包囲網が狭まっていく。
ビュンンッ!!
頭上から毒針が振り下ろされ、紙一重でスサノオがかわす。
その代わりのイケニエとなり、串刺しにされて、毒液を注入されたカマキリもどきが、モコモコッと全身を膨(ふく)れ上がらせたかと見ると、次の瞬間、周囲に毒まじりの体液を撒き散らしながら爆裂する。
全体に刺(とげ)の生えた触手が鞭のようにしなり、(邪魔だ!)と言わんばかりに、地上のカマキリもどき達を薙ぎ払う。
五六メートルもある虫の化け物達が、無造作に吹き飛ばされていく光景は、ある意味、シュールの極みだった。
そしてとうとう、ナイアーラトテップの攻撃が、スサノオを捉(とら)える 瞬間(とき)が来た。

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