《MUMEI》

私たちは、学校の校門を出て、駅とは逆の方向へ行く。
「どこか寄るの…」
「ああ、ちょっとな…」
別に他の所に寄るのは違和感なんてないし。
 寧ろ、ここは都会だからみんな大型のショッピングセンターなどに寄り道をしているのは知っているし、私も何回か行った事はあるけれども、近所のショッピングセンターは遠のいていき、車が沢山走る公道に入る。
「どこ行くの…」
「あともう少しだよ…」
「ここや…」
佐久間君が立ち止まった先は成瀬君の家だった。
「ここ…」
「うん…」
成瀬君は早速鍵を開けて、家に入れてもらった
「うわあ…綺麗…」
「でしょ?この間リフォームが全て終わったんだ…」
「全部リフォームって金持ちやなあ…」
「そんなことないよ…家具はボロボロだし…」
私たちは喋りながら、階段を上がり、二階につく
「ここが僕の部屋だよ…」
成瀬君は、部屋を見せてくれた。綺麗に整頓されていて、壁紙やじゅうたんも新品、本当に埃一つ無さそうな部屋だ。
「ずっとそこで止まっとったら始まらんし…」
佐久間君は退屈そうにドアのはじに寄りながら
呆れたように言う。
「うん、いいよ…」
「なあ、お前ってな〜白泉の片瀬と鮎沢の木原とどういう関係なん?」
「え…」
突然、佐久間君の口から発せられた言葉に気が動転する。
「二股かけてるんだよね…」
「ええ…」
さっきまで機嫌がよかった成瀬君も、豹変して
私を見る。
「はっきりいいや…」
「付き合ってるんだよね…その二人と…」
「二股かけたあかんねんで…」
「っ…」

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