《MUMEI》 ジグザグの軌跡を描いて転移するスサノオを、蟹(かに)の胸脚にしか見えないハサミが、がっちりと捕らえ挟みこんだ。 ギザギザのハサミが凄まじい力で、スサノオの胴体を両断せんものと食い込む。 「ぐはぁーーっ」 スサノオが苦痛のうめき声を上げて、よだれを垂らす。 「うおおーーっ!!」 剣を握っていない右腕を高く振り上げると、勢いよく右肘をハサミに向かって振り下ろした。 肘を中心に超振動が走りハサミに亀裂が走るも、 そうたやすくは粉砕されない。 バキィーッ! バキィー! バキャーッ!! 三度目の肘打ちの後、ようやくハサミが砕け散り、開放されたのもつかの間、 ビュンッ! 下方から毒針が突き上げて来た。 何とか毒針を両腕で掴み止めたのは、先端が腹に突き刺さる紙一重の距離だ。 針が名残惜し気に、先端から毒液を、スサノオの腹部に吹きかける。 途端に濛々(もうもう)と煙りを上げ、その部分が焼け爛(ただ)れていく。 「ぐ・・・・ぬっ」 苦痛の声を耐えるスサノオ。 迫る毒針を食い止めるため、スサノオの両肩の筋肉がこぶのように盛り上がった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |