《MUMEI》

さらに今度は、触手と言うよりも、工場用ロボットのマニュピュレーターにしか見えない先端のドリルが、唸りを上げ回転しながら、目前に迫って来る。
ギャリーーンッ!!
と火花を散らして、クロスした二本の剣が、回転するドリルを受け止める。
「ぬぅっ」
スサノオはギリッと歯噛みした。
残された二本の腕の手首
に、ナイアーラトテップ
の触手が間髪を入れずに絡みついたのは、その直後だ。
これでスサノオは、六本の腕の全てを封じられた事になる。
ギリギリとまるで体を引き裂こうとするように、
両手首に絡みついた触手が、外側に向け力を加え、引っ張り始めた。
スサノオの力をさらに上回る触手の力に、みしみしと筋肉を軋ませ、両腕が広げられていくと、とうとう真っ直ぐに伸びきってしまった。
そして触手は両脚にまで絡みついて来る。
万事休す!
このままスサノオの体は触手によって引き裂かれるのか?!
「うおおーーっ!」
スサノオが完全なハリツケ状態の身を、空中でもがかせる。
「いやぁぁーっ!裂けちゃうぅーーっ!」
ダキニも天狗丸にしがみつき、思わず甲高い叫び声を上げた。

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