《MUMEI》
映像
 部屋に帰ると、固定端末が急に最大音量で鳴り始めた。
メールが届いたらしい。
タイキは慌てて端末に駆け寄った。
キーを押して音を消す。
そして、そのまま椅子にズルズルと座りながらタイキは「なんで音量最大なんだ?」と端末を見つめた。

 朝、出かけるまでは間違いなく着信はサイレントに設定してあったはず。
まさか、空き巣が入ったのだろうか。

 タイキは座ったまま、部屋の様子を確認した。
特に荒らされた様子はない。
窓も鍵がかかっているし、ドアも確実にロックされていた。

「んなわけないか。盗るもんなんて、ないしな」
独り言を言いながら、タイキは届いたメールを開く。
なぜかアドレスが非表示だ。
「ん?映像があるな」
タイキは添付された映像を開いた。
「……え!なんだ、これ」
そこに映し出されたのは、赤い車の周りを怪しげに歩き回る若い男の姿。
「……僕?」
そう。
その映像にはさっき、ミユウの車を見つけた時のタイキの様子が映っているのだ。
映像の下に一言、文が書かれている。
「不審人物発見。あんたってストーカー?……って、これミユウか!!」

見られていたのか。

少し恥ずかしい気持ちになりながら、タイキはふと疑問を持った。
「…僕、アドレス教えたっけ?」
いや、教えていないはずだ。
「もしかして、音量変えたのもミユウか?」
きっとそうなのだろう。
彼女のことだ。
どこかにハッキングして個人情報を引き出したに違いない。

 タイキはリピートして流れる映像を見ながら呟いた。
「暇な奴だな」

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