《MUMEI》

とりあえずタオルを腰にまく。風呂場から出て、彼女の頭を撫でるって、あ?
何で彼女は俺の左手をつかんでいるの?

「‥‥うわっ!」

そのまま風呂場まで引っ張りこまれ、後ろむきに突き飛ばされる。
湯船に尻から入るというはじめての経験をしてしまった。膝裏とか打った。ちょっとうめくくらい痛い。

「あはははは!ひっかかったぁ!」
心底楽しそうな彼女の声。
すかさず第二の衝撃とともに水しぶきが舞う。

「いたたたた、重い重いっ!」

恋人はロンTにジャージ姿のまま、あろうことか湯船に飛び込んできた。俺にまたがるような格好で、首に腕をまわされる。何コレ?
「ちょ、重いから、つか服のまま入、ぶわっ」

俺の顔に容赦なく湯がかけられる。花びらが頬にひっつく。

目をあけると視界いっぱいにひろがる彼女の笑顔。ホント楽しそうね。俺のメンタルと反比例。
そして、服が透けていますよ。エロい!あとさ、その体勢って、ねぇ?
雄の本能を刺激しないで!?

「ね、いいもんでしょ花風呂も」

仰るとおりでございますです。

お互いに歩みよらなければならない同居生活5日目。おっきした下半身に、花弁と桃色の湯に感謝せずにはいられなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫