《MUMEI》

 









「………………アンタってどこにでても認められる馬鹿よね」

「ですね、」











あれから休み時間、担任をキレさせた彼女は大量のプリントを今週中までの期限付きで押し付けられた……。

机の上はプリントの山、もはやビルのようだ。














「…………………手伝って」
「嫌。」








間髪あけず断られた。












「薄情者がァ!見てよコレ、地獄絵図だろ!?可愛い可愛い親友の為に一肌脱いでやろうとかいう心ないわけか!?」

「ないね。つーか寝坊魔のアンタが悪いわけでしょ?自業自得だって」

「…………………ウッ、うぅ、泣いちゃお」














そう私、黒埼夜風(クロサキ ヨカゼ)は

寝坊の常習犯、2日に一回のペースで寝坊してしまうほどの酷さ。ちゃんと目覚ましはかけてるんだよ?でもうるさくて壊しちゃうんだよ。意味ないよね、





さすがに荒木先生も我慢の限界だったんだろう、このキツ過ぎるサプライズ。泣きそうです。















「あ!もしかして裏をかえせばこれは荒木先生の愛情表現!?アレ絶対ドSだから好きな子にはイジメちゃうタイプなんだ!え―でも好きになられてもな―…」

「取り敢えず、お前は馬鹿だ」

「え!?」












そのまま無表情で私の席から離れていく親友の青葉さん。酷いよみんな酷いよ。








「夜風〜」












不意に後ろから呼ばれ振り向けば、見た目チャラい佐野だった。










「ンだよ」

「え!?何でキレんの?わかんない」

「暑いときに暑苦しいもの見るのは耐えられないよ。取り敢えず切れそのウザったい前髪切れ」

「ム、ムリムリムリ!え!?夜風俺のこと嫌いなの?」

「ううん、嫌いじゃないよ。ウザいの」

「えぇええ〜」











泣きベソをかく佐野新くん。

見た目より人懐っこく可愛い気のある青年、だからこそイジりたくなる。あ、でも前髪ウザいのはホント
















「それよりさ、」

「え?」










ズイッと後ろの席に座っている佐野に近付く









「青葉狙いなんでしょ、もっとグイグイいけよ」

「え、えぇええぇえ!!」










あたしの言葉に激しく同様して顔を真っ赤にする佐野。













「ち、違うっよ!何で俺が中村さんを!?違うって!違う違う違う…」

「いや、いやいや、バレてるからアンタあからさま過ぎだもん」

「………………な、内緒にしてよ」

「ハイハイ、で?どうするのさ」

「な、何が」

「アプローチとかしてんの?って意味」

「で、出来ないって!中村さんてクールだし俺みたいなの嫌いだろうし……」

「……………あぁ〜、」






まぁ、否定は出来ない。






「でも男なんだし好きな女にはグイグイ攻めろよ」

「ムリムリムリ!見てるだけが精一杯!」
「乙女か!」














 

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