《MUMEI》

 







ざわざわと行き交う人混み、車道では赤信号で停止する車の列。

時間帯からして学生の割合が高い放課後、










「夜風のせいで俺も怒られた」

「黙れ。それか前髪切れ」

「いっつもそればっか!」










まるで芸人みたくテンポのいいボケとツッコミ、夜風と佐野はラーメンを食べに行く途中だった。











「塩かな〜、でも気分的には豚骨?あ、でも味噌も捨てがたい。……2つ頼んでいい?」

「ラーメン2つ頼む女初めてだよ」








そう言って少し引き気味の佐野、











「んじゃもし青葉が2つ頼んだとしたら?」

「………あ、それもそれで可愛い」

「ただのヒイキじゃねーかッ!」
「グフッ!!」









佐野のナヨい腹にストレートを決め込めばカエルのつぶれたような声を出した。


キモーイ












「な、んなのこの鈍痛、ホントに女?」

「許せない発言だ、よしもう一発…」

「嘘、嘘嘘!ごめんなさい!」

「わかればいいんだよ」







はぁ、とため息をこぼす佐野。ふと、そのまま左側の何処にでもあるようなファーストフード店をチラリと見ればなにやら揉めている男女が目に入った。

いや、詳しく言えば怒っているのも声をあらげているのも女の方、男は寧ろ平然と興味の無い感じだった……。




夜風も佐野が黙って左方向を見ていることに気が付いて「どうしたどうした」と一緒になって覗く、














「……………………喧嘩?」

「みたいだな、でもなんか普通のカップルの喧嘩にしては違和感が…」

「確かに、感情が乱れてんのは彼女ばっかりで彼氏の方は同じように怒るどころかなだめたりすらしてないね。どっちかってゆうと他人?に近い」

「目すらも合わせようとしてないし」

「中入ろうぜ」

「はぁ!?ちょ、夜風!」





興味心から佐野を置いてきぼりに、ファーストフード店にスタスタ入店する夜風。

慌ててそれに着いていく佐野、













「「……………………………」」





テーブルに氷水の入ったグラス、二人は向き合って座った。

そして一つ先のテーブルでは先程の違和感のあるカップル、










「アンタずっとそう思ってたの!?あたしは好きだったのに!自然と恋人になれたんだと思って…」

「一方通行だね。自然と恋人って……俺にはついていけねぇ考え方だ」

「あたしのこと好きじゃないの!?」

「言葉理解出来なかった?一方通行だって」










凄い言葉の数々、もはや他人には理解できない領域。

いや多分最初から聞いていたとしても到底無理だ。



けれど一つわかったことはこの二人はカップルじゃない、とゆうこと?

でも女のほうはそう思ってたわけだが自然と恋人ってゆうのも理解し難い……















「(凄いことになってんだが、俺、全然理解出来ねーんだけど)」

「(心配するな私もさ)」









ヒソヒソ声を小さくしながら会話する。










 

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