《MUMEI》

 











「じゃあ何でヤッたのよ!」









「「(えッ!!?)」」









その言葉には衝撃だった。

あたしたちだけじゃない、周りも店員も目を見開き二人を凝視する。





感情的になるのはわかるがよくそこまで大声にして言えたなと敬服する。一緒に座っていた男はため息をはく、



とゆうか、私は女よりこの男が気になっていた……




あまりにも他人事であまりにも無関心なこの綺麗な栗毛の男、一瞬青葉を同一視してしまった。


まぁ、顔は後ろ姿でわからないが……













「この機会で頭に入れとけばいい、男はね好きじゃない女とでも寝れるから」

「!! 最低!もうアンタの顔なんて見たくない!もう一生会わないから!」

「どーぞ勝手に」

「!?ホントにいいの?」










名残惜しそうな女の声、あぁ、引き止めてほしかったんだろう。

女の複雑な乙女心とゆうものだ。

つか、男の方最低だなオイ、












「自分から言っといて何なの?止めてほしかった?焦ってほしかった?俺の性格知ってるだろ、飽きっぽくて気分屋だって………君めんどくさい」

「―――――――――ッ」











やっちまった――――――――!

言い過ぎだって男ォォォ

泣く、絶対泣く!私だったら泣く!そして殴る!






予想は的中して女の方は泣きながらその場を去った。しかし気まずさを残した店内、静けさは消えないまま…



けれど男は気にしない様子でジュースを飲んでいた。














「(あれはアリですか黒埼さん)」

「(ナシです。)」

「(もう気が済んだろ?さっさと出ようぜ)」

「(この嫌に広がる静けさの中?無理だ。周りも動き辛そうに黙って座ったままじゃん)」

「(……だけど俺腹へっ…………)」





ガタン。








「「「「「「!!」」」」」












席を立ったのはあの男だった



顔を見てやろうと勇気を出して見上げるとタイミングよく目が合った。






ぎゃぁぁぁぁあ









焦ったのもつかの間、男の顔は大層立派な顔立ち、いわゆるイケメン様





あーだから女切るのもあっさりだし不純な事してるってわけか。




私は一人納得した











しかし驚くことに男は私に指をさし「あ!」と、声を出した。


え?何!?私アンタなんて知らないよ?






佐野もそれに驚き目を見開き私と男を交互に見る。















「君、よく遅刻して荒木先生に怒られてる人だよね」

「!!? 何でソレを……」








佐野は男をしばらく見てハッと思い出したような顔をして、「灰親楓?」と、呟くように口にする。



すると男はニコリとしてから「そうだよ」と、答えた。






ハイチカ カエデ…?


知らん。













「同じ学校なんだけど?」

「…………知りません」

「そう?なら覚えといて」

「はぁ、」








またもニコリ、下手くそな笑みを作るコイツに不信感が生まれる。









 

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