《MUMEI》

 






「一人でやるより効率いくない?」

「いや、いやいや!だって友達でもないのに悪いよ」

「じゃあ友達になろうよ」







ね?と、可愛いらしく首を傾げて私に言う。


ぐはァ!!





吐血もんだよイケメンくん。







こんな素振りを見せられ断ることなんて無理だ。私は「よろしくお願いします」とお辞儀した




………………あぁ、なんて単純。














放課後になってから私は大量のプリントが詰めてある鞄をさげ、灰親楓と約束した下駄箱で待っていた。

すると五分してから学生だらけの間から一際異彩を放つ灰親楓を見つけた。私は気付いてもらうべく手を振ろうとした瞬間、


…………………手が止まった。











――――――ん?アレレ?






視界に入ったのは灰親楓と、

その灰親楓の腕に引っ付く化粧が濃いめのギャル










彼女か?











私に気付いた灰親楓はニコリと笑ながら歩み寄ってきた。











「じゃあ行こっか」

「え、あ、うん」

「えー楓今日遊べないのぉ?」

「うん。約束したからさ」

「……ふうーん」










女は私を下から上までジッロォ〜と見つめてからまた灰親楓に媚びる。












「じゃあ今日は仕方ないけどぉ、今度は遊んでね?楓の家で♪」








最後の台詞を甘ったるくゆっくりとそして優越感に浸った顔で私を見る。

あーもう、気分悪いなァ
いっそ殴っちゃおうかな。








拳に力が入るが寸でのとこで我慢する私の顔はひきつる、けれど出来る限りの笑顔でいた。



灰親楓はその嫌な空気を洗い流すように爽やかな笑顔を女に向け、「今度ね」と、口にした。そうすれば女も満足したように手を振りこの場を離れて行った……











「………ふー、さて行こうか」

「あ、うん。でもいいの?彼女ほったらかしにして」

「え?全然いいよ?彼女じゃないし」

「はえ!?で、でもさっきあんなにくっついて……「はい出発―」












私の疑問なんておかまいなしにスタスタと歩き出す。慌てて後ろをついていった。












スタスタスタスタ、











「プリントって内容はどんなの?」

「荒木先生が数学担当だから数学が多いかな」

「あ、だったら早く済みそう。俺数学得意だから」

「へー、私全然だよ。だからいつも荒木先生にボコボコにされる」

「はは、遅刻魔だし点数悪いし荒木先生も大変だなぁ」

「きょ、今日は遅刻してねぇ!」

「はいはい」












今向かってる先は近くの県立図書館。

歩く度に回りの女の子達が振り向く、どうしてだろうかと疑問に思ったがその答えは直ぐに見つかった。隣のコイツだ。


はは、歩くだけでコレか羨ましいなチクショー






そんなことを思いながらボーッと灰親楓を見ていると向こうもこちらの視線に気付き「何?」と、綺麗な顔を近付けてくる。












 

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