《MUMEI》

「梨華ぁ〜!!!!数学の課題やってきた?」

「バッチリ〜♪」

「うわ!裏切りもん!」


今井梨華。17歳になったばかりの高2。

そして前でノートを広げてうなだれてるのは
私の友達の一人、澤井由香。


「由香、ほんと課題やらないよね、成績悪くなんの分かってるくせに」


私の右斜め前で溜め息混じりにそう言うのは
由香の幼なじみの橋崎まゆ。


「仕方ないじゃん!課題なんて、授業終わった瞬間忘れるもん!」

「馬鹿だよ、ただの」


そんなやり取りの中、授業開始のチャイムが鳴り、
ギリギリで教室に入ってきたのは2人の男子。


「あっぶね!ギリギリセーフ!」


そう言いながら私の隣に座るのは、私の幼なじみの佐々木陸。

息切れして、倒れ込むように陸の隣に座ったのは、田中慎也。


「遅刻だよ、遅刻〜っ!」

「黙れ、課題忘れ常習犯の由香!」

「遅刻常習犯の慎也に言われたくないわ!」


今日も賑やか賑やか。


4人が騒ぐ中、私はどんどん頬が緩んでいく。

みんなにはバレないように、手で抑えるけど、この行動自体がかなり不自然だよね。

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