《MUMEI》
思い出
寝過ごしそうになった侑が

あわてるあまり芹奈のストラップを踏みつぶしてしまったのだ。

そして代わりに、きれいな蝶のストラップをくれた。

あれから少しずつ侑くんと話すようになって……


足を痛めて体育を見学をしている時

なんでもない顔して話し相手になってくれた。

少し怖いおばさんにからまれて

泣くところを見られたくないと思った時

すっと背中をむけてくれた。

「寝過ごしたついで」と言って

家まで肩を貸して送ってくれた。

今だって、あの妊婦は侑のやさしい嘘に気づいていない。


いつも気づくか気づかないかの、彼のやさしさ。

でも私は、ちゃんと知ってる。

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