《MUMEI》

 









「もしかして怒ってる?」

「別に」

「嘘だね。人間苛つくと声が無意識に低くなるんだ」

「まぁ、不愉快ではあるな」

「へぇ、俺が原因?」











机ごしに身をのりだし興味ありげな瞳が私を映す。少し近くなった感じがして二人の間を保とうと同じだけ私は後ろに仰け反った。


早く言葉を返せと言わんばかりに私の顔を凝視してくる。ずっと見られるのもいい気分じゃないから灰親楓から目をずらしプリントに目をくばった。













「アンタの性格がよ――くわかったわ」

「どうわかった?」

「将来有望の結婚詐欺師」
「ブハッ」











皮肉たっぷり滑舌よくいった私の台詞にいきなり吹き出す。


その反応にまた私の頭の中で疑問符が増えてくる












何がそんなに面白いわけ……?

















「クックック、そんなこと言う女子高生いる?思考が面白いね、馬鹿だからかなぁ?」

「ウザ、」

「いちよう褒めてるつもりだよ。気に入ったってこと」













初めて陽気に笑う顔をみた。

胸が高鳴るわけではないが、客観的に見て魅力的な人間なんだなと感じる。















「アンタさらっと嘘つけるんだな微塵もそんなこと思ってないくせに」

「気に入ったのはホントだよ。まぁ、俺の場合すぐに飽きてしまうから今現在のお気に入りって枠なんだけどさ」

「曖昧で納得出来ない。全然嬉しくもない」

「まぁいいじゃん。……あ、そういえばさ、君の名前なんてゆうの?」

「……………………………は?」











間があいた。



いやだってさ!私が廊下でコイツの名前間違えたらすんごい不服そうにしてたのに何!?自分は許されるのか?





―――――――――――フェアじゃない











 

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