《MUMEI》

 『ッん・・』
あれから寝ちゃってたんだ!!
 あたしは慌てて飛び起き、時計をのぞき込む。

   19:34

 あたしのデジタル時計は画面でそう告げる。
 ヤッバー!!
 あたしは恐る恐る、音をたてないように階段を下りる。ま、実際はミシミシ音がなってんだけど・・・。
 リビングをそぉーっと覗く。
『・・・いない。良かったぁ。』
思わず呟く。
 あたしは走るようにキッチンへ向かうと、テキトーに冷蔵庫の中のものをレンジへ押し込む。
 冷蔵庫の中は、もう空っぽ。
(明日、食料買ってこないと)
 チン、とレンジが軽快な音を鳴らす。と、同時に『待ってました!』とフタを勢いよく開け、中身を取り出す。中からは湯気がモワァー、と出てくる。器はほんのり温かい。
 あたしは夕飯を持つと、階段を駆け上がる。いつもの事だから溢したり、躓いたり、ダサいことはしない。


  20;03

 ガチャ
『あ・・来た・・・・』
あたしは枕に顔を伏せ呟く。女の高い声がする。何であんなにはしゃぐのだろうか。あたしには到底、理解出来ないだろう。
 そりゃ、あたしだって怖いものみたりしたら、たっかい声で叫ぶよ。だけど、オトコと一緒に遊んだくらいで普通叫ばなくね?
 あたしは、布団を頭までかぶった。ドアごしに聞こえる声を遮るように―

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