《MUMEI》 気が付くと立ち上がっていた。 さっきまで痛んでいた傷が不思議と今は痛くない。 意識も……ハッキリしている。 それに、みんなオレのそばに駆けつけていたのか、四人が心配そうな顔で見ている。 が、誰も話しかけてはこない。 ああ……そうだ、訓練の真っ最中だったな、早く始めないと――そこで初めて自分の身体に起きている異変に気付く。 身体が……動かない。 自分の意思で動かすことが……できない! 「キアンちゃん。訓練を続けようか」 突然自身の口が開き、言葉を発している。 なんだこれは……一体どうなってんだ!? 「……っ」 自分では判断しかねるのか、キアンちゃんはみんなの顔を見て回っている。 最後にジュードさんを見て、返答を待っているようだ。 彼はオレに視線を向け、 「ケータくん……大丈夫なのか? 少し休んで様子を見たほうが――」 「ジュードさん。ついさっき休憩したばかりじゃないですか。それとキャルにも言いましたけど、俺《おれ》なら大丈夫ですよ。問題ありませんから続けさせてもらえますか?」 「……わかった。キミがそう言うなら訓練を続けてもらおう。但《ただ》し、何か起こればすぐに止めるからね」 前へ |次へ |
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