《MUMEI》
二度目の笑顔
よかった……

私の初めて好きになった人が侑くんでよかった―――

「……なに笑ってんの?」

はっと気づくと、むかいに立った侑が

訝るように眉をよせていた。


「えっ!? 笑ってないよっ!」

「いやいや、思いきりニヤついてました」

「あ……じゃあ何でもない! ……かな?」

ちょっと沈黙が流れた。

「『じゃあ』……って」

呟いた侑は、唇に長い指を当てて、ブッと吹きだした。

「へんな人」


それは一度目の悪戯っぽい笑みと違う

はっとするぐらい屈託のない笑顔で

芹奈は強い想いがこみあげるのを感じた。

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