《MUMEI》
告白
―――伝えたい  

うまくいくとか、いかないとか、そんなのじゃなく。

ただ好きで、ただ伝えたい。

《東初桜ー、東初桜ー、開くドアにご注意ください》  

「それじゃ」

侑くんを好きになって、初めて知ったいろんな気持ちを。

侑くんを好きになって、うれしかたことを。

ただ伝えたい。


《まもなくドア閉まりまぁす》

ズボンのポケットに手を入れた彼の背中を追って、ステップを越えた。

ホームに足をつくと、それを待っていたみたいに

背後でプシュッとドアが閉まった。

通学鞄を肩にかけ直した侑が

ふと後ろを振り返って、目を大きくする。

「どうしたの?」

びっくりした声、まんまるくなった目。

愛しくて、胸がふわっとひらくみたいに愛しくて

芹奈は大好きな人に笑いかける。


侑くん、伝えたい。


こんなに愛しい気持ちを、私に教えてくれてありがとう。

「侑くんっ、あのね私、侑くんのこと―――」

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