《MUMEI》
夜露死苦愛!?(仮) 
 『ヤッバー!寝坊したぁ!!』
あたしは、あのままグッスリと寝てしまったらしい。あたしは本当よく寝る子だわ。だけどぉ・・・なぜか身長は全然伸びないんだよね(泣)あたしの身長は、学年でも前から4番目くらいの155p。だから実は、未來とは5pほど身長が違う。未來も身長が低い方なんだ。それでも、あたしの方が中学生くらいの妹みたい。
 慌てて家を出たあたしは、ヒトがいるのに気がつかなかった。
 「ちょ、ちょっと待った!」
背後から突然聞こえる、焦った声。
 振り返ってみると、
「遅いから迎えに来たのにぃ・・・」
 あたししかいないこの状況で、可愛い子を演じ続けるのはすごいと思う―・・・って、今までなら思ったんだけど、ついこの前知った。これが"素"なんだって。
『迎えに来たって言うより、アンタも寝坊したんでしょ』
案の定そこには、寝癖のたった未來。
「ちがうもん!これは自分で作ったんだもん」
彼は歩き始める。
『アンテナを頭に作るやつがどこにいるかッ!』
あたしも追いかけるように歩き始める。背が低いってことはそれだけ歩幅も小さいってことで、未來に付いていくのも大変(汗)

 しばらく歩くと、塀に飾られたピカピカの看板が目に付く。あれがあたしの学校。

  《高等学校》

 よくある展開は《不良高校》。あたしン学校は見事に普通・・・とは、言えないけど。
 
 「おはようございまーす。今日、来て下さいね♪」
 数人の後輩があたしに頭を下げる。言葉に表すと部活のあいさつっぽいけど、実際はほぼ「あざーっす」状態。
 この学校には変な決まりがあって、自由にクラブを作れるんだ。で、あたしは【ヨロシクラブ】の部長。面倒くさいからカタカナにしちゃってるけど、本当は【夜露死苦愛】←これで【よろしくらぶ】って読むらしい。名前的にどんなクラブか想像出来るよね。
 その通り!ちょっとしたヤンキーの集まり。


 いつも通り、授業はまじめに受ける。あたしは目が悪いうえ、背が小さいから黒板が見えやしない。だから、あたしの席はいつも1番真ん前。
 あたしの授業スタイルは、赤の縁取りの眼鏡をかける・・・以上!
 赤の縁取り眼鏡ってのは、店員さんが「秀才にも見えるし、可愛いですよ」って言ったから。そんだけの口車に乗せられるあたしって、どんだけバカ?
 2週間前までの事はどんなことでも完璧に覚えてる。だからって、2週間前より以前の事は覚えてないわけではない。それ以前の記憶力は普通の人並みだ。

 
  放課後
 そうだ・・・。あたし、クラブに行かなきゃなんないじゃん。

 クラブ室は学校の奥の奥。人数は多く、30人近くいる(今日来てないのも合わせると、50人超え)。
 『姉さん!』
クラブの後輩に呼ばれる。もちろん、後輩であって姉妹ではない。【姐さん】と呼ばれないだけ感謝か・・・。
 「なんかぁ、苦愛に入りたいってヒトがいるんすけど」タラッとした話し方「アンタ、ちょっと来な」
っぽいなぁ・・・って感じしない?てか、こん中で部長のあたしって・・・
  
 

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