《MUMEI》
[東条 龍] 登場!?(仮)
「アンタが部長?」
上からの声。ま、慣れてるけど正直ビビる。だけど、そんなことおくびにも出さずに・・・
『そだけど?君が入りたいってヒト?』
強気な発言・・・だけど内心、心臓バクバク。
「ちっさ・・・。てか、超弱そうじゃん?何でこんなのが部長なの?羅衣でいいじゃん」
 クラブには3年は一人もいない。3年はみんな良い子ちゃんだから、2年でもあたし1人だけ。てか、強制的に入れられた。
 今、コイツが言ってた[羅衣]はクラブの中でも1番強いし、背が高い(うらやまし・・・)。あたしはほとんどいないから、ほぼ部長なんだよね。それなのに、あたしが部長な訳・・・
 
「はぁ?」羅衣が声色を変える。「姉さんわぁ、あたしたちが死にかけたときに助けてくれたの」
彼女は得意の睨みを効かせ、話す。
 そう、これがあたしが部長になったわけ。なんとあたしは、未來だけじゃなく羅衣たちの命までも救ったらしい。
 「姉さんはあたしたちが勝てなかった相手に、1人で戦って自分はキズ1つ作らず、全滅させたの」
・・・・・らしい。
 何回聞いても・・・あり得ない!絶対にあり得ない!!あたしは、どこにでもいる普通のか弱い女の子だよ。か弱くなかったとしても、羅衣たちが勝てなかった相手にあたしが1人で勝てるハズない!!
 「へぇ〜。こんな奴がねぇ」
ニヤッと笑う。それがまた、あたしをイライラさせる。
『・・・てか、まだ名前聞いてないんだけど』
「あ〜、言ってなかったっけ?」あたしはあごで頷く。「オレん名前は[東条 龍(とうじょう りゅう)]。」
・・・あらま。強そうな名前だこと
 東条は身長は平均より少し高めぐらいで、制服の上からでも、体つきの良さが分かる。制服はもう秋が終わるというのに着崩していて、見るからにヤンキーっぽい。
 ・・・あたしは、きっちり制服着てますからね。
 「んじゃ、オレ行くわ」
扉に向かって歩き始める東条。
『ちょっと待って』
何、と上から呟く。いかにも面倒くさい、って顔。
『アンタ、何組?』
「3年」
『いやいや、組を聞いてるんだけど』
あたし、見た目めちゃ冷静だよね?でも、せっかく正常になった心臓は一瞬止まりかける。
 ―3年だったんですね
羅衣が普通に喋ってるから、てっきり1年だと思ってました。
 「知んない」
―は?? 
自分のクラスだよ。
何言ってんの?
ふざけてんの?
あたしをバカにしてんの?
『ふざけんじゃねーよ。自分のクラスくらい覚えとけ、ばーか』
よし、噛まずに言い切った。
「知らねーよ。オレ、教室行ったことねーもん」
―は??
『何、行ったことないって。自分のクラスでしょーが』
よし、噛まずに言い切った。
「厳密には1回かな。始業式の次の日だけ」 
―1回だけだと?
「別に良いじゃねぇか」
―良くねぇよ
「先公みたいにグチグチゆーなって」
―言いたくなるだろ
 てか、じゃあいつもどこにいんだ?
 1人で考えを巡らせている間に、東条は消えていた。
 

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