《MUMEI》
独り
突然のサヨナラだった

何かの手続きが終わったから、と
チズカのお母さんが迎えに来たんだ

チズカ、泣いてた
僕と一緒にいたいって

………なんにも、出来なかった

チズカは連れて行かれちゃったんだ

そして、その二日後
お祖母さんが他界したんだ
………独りぼっちだ

…お祖母さんの遺言で
お葬式は、やらないでくれって…

でも、弁護士さんのすすめで
僕と、弁護士さんと、不動産屋さんで
お祖母さんを見送ったんだ
小さなお骨の箱の中に、お祖母さんが入ってた

お坊さんのお経なんて、何の役に立つの?

戒名って、なに?

言われたまま、お線香を焚いて
位牌に手を合わせてた

誰も居ない、お祖母さんの家で

だから、テレビはつけっぱなしなんだ

寂しいから

電気もつけっぱなしなんだ
怖いから

マンションには帰らず
お祖母さんの家に居たんだ

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫