《MUMEI》 考えたんだ 嘘がバレない方法を ひとつは、多くを語らない 嘘を隠そうとすると、嘘の上塗りで、嘘がバレやすくなるから ひとつは、相手が勝手に考えてくれるようにすること 遺産を引き継いだ、未成年の僕 相手はヤクザ者 しかも、勝手に家に入り込み いきなり暴力をふるったやつら どう見たって、奴らが悪者だ だから、あえて強調しないようにしたんだ オドオドしてれは、それでいい 積極的に嘘をつかない方が、効果的だし 万が一のとき、勘違いですむ パニック状態だったし、って 自分の顔を鏡で見た 青鮮になってる… 後頭部を6針縫ったんだって 何か硬いもので殴られたか、倒れたときにぶつかったか ホントにわからなかった 退院したけど、学校はお休みしたんだ マンションで、ずっと寝てた… …もし、近所の人が、火事に気付かなかったら 死んでたかも知れないんだな 何日かして、弁護士さんから聞いたんだ あのヤクザの親戚は、借金があって 期日までに払わないと大変な事になっちゃうみたいだったらしいんだ お父さんとの間で お祖母さんの家と土地の一部を譲って、約束してたみたいなんだ でも、相続したのは僕だ… ……嫌いだよ、お父さんも… 嫌いだよ、僕を捨てたお母さんも… 親戚たちは、冷めた感じで僕を見てるらしい… 遺産の独り占めに近い状況らしいんだ 見方は居ない お祖母さんも言ってたもん 弁護士さんだって、騙して来るかもしれないから、油断しちゃダメって お祖父さんは、頑固者で、人を信用しない人だったみたいなんだ… すごく小さなときに、会った記憶があるような… …でも、優しかったような気がしてたけど… お祖母さんから預かった、ノートを見てみた お祖母さんが、僕に伝えたい事が書いてあるって、言ってたから… …そっかぁ、僕を溺愛してた、お祖父さんとお祖母さんに、 お父さんは、僕を会わせないようにしてたんだ… 僕に会いたかったら、金を……… ……何なんだろう …バカみたい… 金、金、金か… でも、お金があるから、僕は不自由しないで暮らしてるんだよな… 前へ |次へ |
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