《MUMEI》

翌日、中村さんの机の上に、昨日の参考書を、置いたんだ

会話はしなかった

学校帰りに、駅のホームで中村さんに待ち伏せされたんだ

僕の前に立ち、何も話し出さない中村さんに


…万引きなんかすんなよな
そう言って、電車に乗ったんだ

中村さんも乗った

会話はない…

自分の降りる駅に、中村さんも降りたんだ…

公園で話そうよ

そう言うと、中村さんはうなづいて付いて来たんだ

駅から直ぐの、公園なんだけど
ちょっと大きな公園で、池もあるんだ

適当なベンチに座ると、僕の隣に中村さんが座ったんだ

……ありがとう…
捕まっちゃうとこだった…
……お買い上げのつもりだったんですかって…言われちゃった…

急いでますからって…逃げちゃって…


なんで?…お金に困ってるの?


えっ………あ………うん…

そっかぁ…
話せよ…


えっ……


家庭の事情を話してみなよ

不思議顔してたけど
中村さん、話し出したんだ
話終えるまで、黙って聞いてたんだ、そして

お金もちから、急に生活が変わちゃって
それでか…僕をやたら目の敵にしてたのは…

まぁ、事情がわかれば腹も立たないけどね


そう、言ったんだ

中村さん、しおらしくしてた…

でも、恨みはあるよ

さんざんバカにしてくれたよな…
…電車の中で、痴漢したとか言いやがって…


…触ったじゃん


触ってねーし!


ホントに触られたもん


どこを?!


………お尻…


何かの間違いじゃないの?どう、触ったって言うの?!


か、硬いの……押し付けたじゃなぃ…


へ?……


検証した結果、たぶん傘の柄だろうって事に…


硬いのねぇ…何と間違えたの?


そう聞くと、真っ赤になってた中村さんだったんだ


さわらせてよ、みんなにさんざんバカにされたり、陰口言われたりさたんだぜ!

えっ?…さ、触らすって……


決まってんだろ…


……だ、ダメだよ…


じゃぁ……見せてよ


ど、どこを?…


中村さん、目を見開き、ビックリしてた


………おっぱいでいいよ

そこのトイレ、先に入ってよ…


う、うそでしょ?


じゃぁ、許さない


…………………む…胸だけだよ…


…わかってる


覚悟を決めたのかな

中村さん、俺が指差したトイレに、ゆっくり歩いて言ったんだ

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