《MUMEI》

酒井さんは、サンルーフが気に入ったみたいだった

ヒーターを強めにして
サンルーフを開けて、走らせたんだ

そして、首都高に乗った

えっ?…

酒井さんが、俺を見た

遠回り……ドライブしようよ

……うん…いいよ…


夜景を見ながら、車を走らせてた

そして、パーキングで
アドレス交換をしたんだ

いいなぁ、それ新しいスマホでしょ…

私なんて、まだ、こんな携帯だよ…

…ちょっと前のだけどスマホあげようか?

えっ?…

契約内容ちょっと変えなきゃならないけど…
そんなにお金掛からないと思うよ

マジ?…ホントに?

新品じゃないから、傷とかもあるけど使えるよ

そんな会話をして

酒井さんに手を出さずに、送り届けたんだ

車を降りた酒井さん…
……可愛かったなぁ

鈴木の彼女か…

…食っちゃおうかな…

でも、身近で生は…ヤバいだろうしなぁ…

酒井さんの化粧の香りが車内に残ってた

化粧してるんだな…

もう、ガキじゃないもんね…バージンのはずないし…
大人の自己責任だよね…


……鈴木君の彼女の酒井さんが
俺のお古のスマホを使ってた

スマホは学校で渡したんだけど
契約変更したと聞いて
便利に使えるようにセットアップをしてあげたとき
二人きりで会ったんだ

ファミレスで

その時、裏アプリを起動させたんだ

これで、酒井さんの、普通のメールを、俺のパソコンで閲覧出来るんだ

酒井さんの秘密を知れるんだ

獲物を見つけた…

…美味しく食べたいよね…

そるから、学校でも、話すようになったし

鈴木君の俺を見る視線が、痛くもなったけど

なに食わぬ顔をしてたんだ
不思議な事に、酒井さんと話すようになると
他の人も話し掛けてくるようになったんだ

あの、バカップルが何か話してるからかもだけど

ネクラだと思ってたけど、大人だったんだね

とか、言われた

適当に、笑顔で応えてたんだ

童貞じゃないってのが、そんなに偉い事なの?

ヤルだけなんてつまらないよ

誰も知らない、本当の俺……

そして、酒井さんは、彼氏の愚痴を、俺にメールしてくるようになったんだ

みんなと話すようになって、アドレスも交換したけど、もうすぐ卒業だしね…
でも、どこに獲物が居るかわからないから…

…一応、女子は、ね…

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