《MUMEI》

…痛ってぇ……

流石に頭に来た
基本、俺は自己中だから…
ぺっ……

吐いた唾が赤かった

唇が切れてたみたいで、拭った手も、赤かった

みんなが、鈴木を押さえてた

女子が、大丈夫と、俺に声を掛けてた…

怒りが込み上げて来てた…
格好なんかつけてられねーや…


あんたぁ、喧嘩してんのかぁ…

下品な声の方を見ると
金髪のピアス野郎と、デブがヘラヘラしながら近付いて来たんだ

なんだ…コイツら…

…コイツら、女子を見てる…

痴話喧嘩はよくねーよ…
ん…話してみな…解決してやるぜ

酒井さんの前に行って、そう言った、汚いデブが

逃がさねーからな…
…デブで悪かったなぁ、酒井!

!……このデブ、酒井さんを知ってるんだ

逃げようとした、酒井さんの腕を掴んだデブが

そのまま酒井さんを抱き寄せて

うほぅ、柔らけー乳してんなぁ、鈴木ぃ、お前の女、なかなか良い乳してんじゃねーかぁ

…なんでもよかった
俺、とにかく殴りたかったんだ…

どう見ても、コイツら悪者…

ピアス野郎は鈴木に絡んでた…

デブが俺を見て、威圧的に
あんだ…お前…

そう言ったときには、俺の蹴りが、デブの腹にめり込んでたんだ!

ネットや本で習っただけだけど
毎日、練習してたしね…

オモチャみたいなサンドバッグ相手に

実際は、蹴った脚にも、こんなに衝撃が来るんだ!

今さら引けない!

デブの顎を掴んで、上を剥かせ

ドン!

拳で腹を殴ったんだ

うげぇぇっ…

デブは、ぷぴぴぴっと屁をこきながら、嘔吐しやがったから
地面に捨てた…

…鈴木に絡んでたピアス野郎を見て

来いよ、と、手招きした

………こいつ、完全にビビッテらぁ…

蹴った足も、ジンジンしてて…

……俺、黙って酒井さんの手を握って、その場から離れたんだ

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