《MUMEI》
絶望
「絶対、人通りの多い道から帰りな!それとワンタッチで警察に連絡出来る様に画面設定しときな!!」

「うん…」

茜に怒鳴る様に言われ、素直に従う私。

「小走りで帰るんだよ!?ちゃんと背後には気を付けなよ!?」


もう茜様と呼ばせて下さい…。

そう思いながら電車を降りた。


『ドアが閉まります。ご注意下さい』


電車のドアが閉まった。

窓から心配そうに私を見ている茜に笑顔で手を振って改札口を出た。


道を小走りするにつれて汗が滲んできた。

自然と左手の携帯を握りしめる力も強くなる。


ジャリッ


背後から感じる気配に息もうまく出来ない。


後ろに誰かいる…!!!


そう思って全速力で走ろうと足に力を入れた瞬間


「逃げようとしてるぅ?美鈴ちゃぁん…」


「―!!!?きゃあぁああ!!!!」


20後半のおじさんに腕を掴まれて恐怖で心臓が潰れそうだった。


「暗いのに1人で帰っちゃダメだろ〜?」


「いやあぁ!!はなっ、離して!!!!!」


押し返しても身体を擦り付けてくる。


やっぱり1人で帰るなんて無謀だった。


今の状況はかなり絶望的で涙は止まらない。

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