《MUMEI》

…俺が運転すんのか?

佐伯さんが言ったんだ

うん、だって俺の免許証じゃ、ホンとはダメなんだもん

笑顔で言った俺に

俺の戸籍より、免許証を心配してたのはそれでか

呆れ顔して、佐伯さんが言ったんだ

このキャンピングカー
中型になるんだ
佐伯さんの免許証は、ギリセーフ
俺のときは、もう、二十歳以上じゃなきゃ取れない区分になってたんだ

お店の人も心配してたけど、じゃぁ要らないって琢磨が言ったら困った顔してたわ

クスクス笑いながら、イズミが言ったんだ

普通免許で乗れるキャンピングカーだってあるだろ

運転席に座り、スイッチとかを確認しながら佐伯さんが言ったんだ

4人だと狭そうだったの
優香、公衆浴場とかダメでしょ…シャワーもあるのよ、この車

そう話したイズミ

何で?…何で私達のためにそこまでするの?
安い買い物じゃないわよね?!

優香が俺を強く見て言ったんだ

……奪われたままじゃ…先に進めないよ
…高木組は、佐伯さんのお父さんが隠した資産を狙ってたんだよね…

てめぇらの欲望で
密輸に便利な会社を奪い、資産まで奪おうとしやがった…
…人の人生を踏みにじり、自分勝手に欲望を満たそうとするなら…
…同じことされても文句言えないだろ?…

俺、佐伯さんを見て言ったんだ

…言っとくけど
私達は佐伯さん達のお金に興味ないわよ…
だって、琢磨、一生贅沢しても使いきれないほど、持ってるもん…
…通帳みてビックリだったわ

イズミが言ったんだ

…イズミは優香と仲良しみたいだけどさ…
お互い、もっと知り合えれば、違う何かが見えるかもしれないなって、ね…
…………俺、善人じゃないよ…最初に言っとくけど
どっちかと言ったら悪魔側の人種だよ…

そう、話した俺に

私もだよ
でもね、知ってるんだ……琢磨はね、それだけじゃないの……ただの悪党なら、好きにならないよ
………言葉じゃ難しいから、琢磨を見て
…それが一番早いよ

イズミが、そう言って、俺の腕に甘えたんだ

優香が俺を見てた

…強いんでしょ?
あの倉庫で、ピアス野郎と、お漏らしデブ、逃げなかったよね…
足に何かしたんでしょ?
………軍隊相手にしたらムリかもしれないけど
俺を仕留めるのなんか簡単でしょ?…
……そんなに警戒しなくてもよくない?
兄貴も一緒なんだしさ

優しくそう言って、和まそうとしたのに、イズミが

やらしい目で、見られるのは我慢してよね…
…琢磨、エロから生まれて来た悪魔だから…

そう、言ったんだ

優香が引いてた…

佐伯さんが笑いながら

じゃぁ出発するぜ

そう言ったんだ

…………つづく……………

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