《MUMEI》
制服デート
                

「―…ん……?」


目を開くと

視界には電車の座席。


あれ…?ここどこ?今何時?

制服のカーディガンのポッケから携帯を出してディスプレイを見ると

《9:42》

えっ!?

9時42分!!?


「遅刻だ!!!」


つい大きな声を出してしまった。


「…ん……うるさ…」


龍河も今目が覚めたらしい。


「学校!!どうしよう、寝ちゃってた…!!確実に遅刻だよ!!」


今更だけど慌てずには居られない。


「……サボるか」

「えっ!?」


冷静に言う龍河に対し余計慌ててしまう。


「ほら降りるぞ」


龍河は電車を降りながら言う。


「あ…待って〜!」


私にしては情けない声だった。

でも知らない所に1人

置き去りにされるよりはまだマシだった。




「……すごい…」

改札口を出て見ると

周り一面に高いビルや店がたくさんあった。

これを都会と言うんだろうな…。

に比べて私の地元は……。

なんて思っていると


「美鈴行くぞ」

「あ、うん!」


よくわからない道を

龍河について行きながら眺める。


「どっか行きたい店ある?」


龍河が私を見ながら聞く。

「うーん…」

チラッと横を見ると私の大好きなケーキバイキング店があった。

かなり行きたいけど……

さすがにこんなイケメンくんと

制服デート(?)中にこんな店に入るのはなぁ…。

なんて悩んでいると龍河が

そのケーキバイキング店に入った。


「えっ…龍河?」


「食べたいんだろ?
つーか俺も食べたかったんだよね」


そっか…。

龍河も甘いの好きなんだ…。

そんな風には見えないけど。(失礼)




「………取りすぎだろ…」

「そう?」

一皿に5個乗った皿を二皿。

これ結構我慢した方だけどなぁ。


「あれ…龍河はそんだけ?」


3個しか乗ってなかった。

「あぁ。俺甘いのそんな食べねぇし」


「え?でもさっき…」

『俺も食べたかったんだよね』って


「そーでも言わねぇと美鈴 遠慮しそうだったし」


うっそ……。

気遣いとか絶対に

しなさそうに見えるのに (失礼)

優しすぎない…?

好きになっちゃうよ?

ってかもう好きだけど。


「ありがと…」

「別に。あ、それうまそう。
ちょうだい」

指差したのは私がフォークで指した一切れのケーキ。

…どうすればいいの?

そのまま龍河に食べさせればいいの?

「はやくー」


「はやくー」って!!

かわっ//かわいいよそれ///

食べさせればいいんだよね?


「…あーん」


言いながら龍河の口の前に運ぶと

何故か龍河がいきなりそっぽ向いた。

「…龍河?」

「…」

えっ…

あーんはやっぱり違った…?

そーだよね…彼女でもないのに…

自分の行動が恥ずかしくて情けなくてうつ向いて黙ってると


「まさか美鈴が…食べさせてくれる
とは思ってなかったから…
その…てっ、照れたってゆーか…」


……えっ…照れてたの?


龍河を見ると顔が赤くて

私までつられて顔が熱くなる。


「別に嫌だったとかじゃねぇから気にすんなよ」

「…うん」


それから憧れのゲームセンターに行った。

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