《MUMEI》
争奪戦
神戸、福岡、広島と
佐伯さんの親戚達回りをしたんだ

順調だったし、なにより4人で居るのが楽しかった

そして、情報も、集まったんだ

良い情報も、悪い情報もね……

良い情報は、佐伯さんの両親は、スイスの銀行に、資産を預けたらしいんだ

今、確認してもらってる

そして、悪い情報は
高木組の残党も、それを狙ってるらしく、動いてると言うことだった

日本に居る、佐伯さんの親族の中には、
高木組の方に付いた奴らも居たんだ…

その人達は、元々、白人と養子縁組した佐伯さんの祖父を嫌ってた一派だ…

そして、佐伯さんの両親の行方は、どちらにも属さない、偏屈な親族が知ってるようだった…

…生きてるのか?…

普通に考えれば………

……目的地は新潟

とにかく、その親族と会って見なくちゃわからない

交代で運転しながら、目的地に急いだ

………確かに、偏屈な人なんだろうな…
お金持ちだと聞いてたけど…

佐伯さんが親族から聞いた住所は、ラブホテルだったんだ

佐伯さん達は目立つから
俺とイズミで調べて回ったんだ

近所の人や、役所なんかも……

所在がわからない…
…ラブホの名義は、会社名義
そして、その会社に、佐伯という役員は居なかったんだ…

ラブホの人に聞いてみた

居るか居ないかじゃなく
連絡取りたいから、電話下さいと
メモを強引に渡して来たんだ

諦めかけてたとき
知らない番号から、電話が来たんだ

雅人の知り合いか?

そう聞かれた

そして、指定された場所に向かったんだ

その場所は、山の中にある、広大な敷地だった

鉄の門に、鍵が掛かってた…
言われた通りの番号で、鍵を開け、中に進んだんだ

必ず鍵を掛けとけ、そう指示された…

一本道で、近くに車を止める場所もなく
キャンピングカーのまま、行ったんだ…

罠かもしれない…
…これじゃぁ、簡単に、逃げれない

携帯電話の電波も、途切れ途切れ…

緊張が走ってた…

…行くしかない

その広大な敷地の中は、自動車や、何かの機械が、山のように捨てられてたんだ
解体屋みたいに…

そして、その敷地の中に、屋敷が見えた

古く、汚い平屋だった

雲の巣だらけ…
…人が暮らしてるとは思えない…

…鍵は掛けてないと、言ってた…

横開きの玄関を開けると、土間が広がってたんだ

そして、その奥の障子の向こうから

上がりなさい

そう、声がしたんだ

靴を脱ぎ、お邪魔しますと、上がった

障子を開けると、中年の男が居た

中は、外よりは綺麗だったけど…掃除をマメにしてるとは思えない荒れようだったんだ

だけど、電気は来てる
エアコンも、動いてた

挨拶をした後、佐伯さんが、一通りの話をした

黙って聞いてた中年男は、タバコを何本も吸ってたんだ

部屋が煙くなるほど…

チェーンスモーカーだ…

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