《MUMEI》

琢磨…大丈夫?…

イズミが言った

…うん…

優香がイズミの髪や顔を拭いてた

車が揺れる…
山道を、佐伯さんが運転してるんだ

私は後でいい…琢磨が先よ
イズミが言ったんだ

私がやるから…

優香が言った

私の仕事なの…

イズミが言った…

俺の拳は、真っ白になってた…血の気がなかったんだ
爪は手のひらに食い込んでた…

血が乾いて、パリパリだった

イズミがそれを、手当てしてくれたんだ

…………揺れる車内

会話は無くなってた

………お風呂…入りたいな…

イズミが呟くと
優香が運転席に向かったんだ

……イズミと二人きり

……泣くなよ…

………少しだけ………泣かせて…

イズミの声が、震えてた

イズミを抱きしめ、イズミは俺の胸で………身体を震わせ、泣いてたんだ…

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