《MUMEI》 「かえでだって分かんなかった、目元しか面影ないじゃん。」 あるがままの感想を述べる。 「褒めても何も出ないよ」 七生と張れる声の大きさで叫ぶ。地声がこれだ。 「七生もそう思うだろ?」 「ああ」 まだ馴れないのか大人しくしている。 「絶対そんなこと思ってない!」 かえではブーツの先を真っ直ぐに伸ばして蹴る真似をした。 「どこ行こうか、二郎の家?麻美ちゃん元気?」 早口でまくしたてる。 「麻美は元気だよ。今日は部活なんだ、小学校見に行かない?許可下りなかったんだけど見るだけもいいだろ、その近くに公園あったよね、そこに行こうよ」 「そのあとゲーセン行こう」 かえでは花が咲いたみたいに手を回した。楽しんでくれていて何よりだ。 前へ |次へ |
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