《MUMEI》

 








目の前の彼女はなんとも言えない表情を浮かべ俺を見る。

俺が笑うと彼女は不服そうに眉を寄せる。



感情がそのまま顔に出るタイプ、わかりやすくてまた笑いがこぼれた









「クク、……ま、後は一人で頑張って」

「………ええ」

「あと、」
「!」








鞄を持ち椅子を直してから、










「今度名前で呼ばないと無視するからそのつもりで」










彼女は少し考えてから一拍おいて「わかった」と小さく答えた。

あまり満足はなかったがまぁいいか、だってどれもこれも気紛れなんだから…。



俺は執着心がない。独占欲も嫉妬心もまるでゼロだ


だから俺は愛せない







媚びへつらう女ミーハーな女身体を武器にする女、全部全部吐き気がする。だが俺は男だ肉体関係は多々ある。

酷い?最低?うるさいな、この世の中汚い恋愛なんてこぼれ落ちるほどありふれているだろう?



我が儘に自己中に他人のことなんてお構いなしな浮気

家族を裏切ってまでする不倫

相手じゃなく相手の懐にある金が目的の利益上の恋愛





この上なく馬鹿馬鹿しく醜い。人間は醜い。それでも純粋な恋愛があると?


答えは”無い”だ。















「また明日」












できるだけ人の良さそうな笑顔で手を振った。それから背を向け歩き出す。


黒崎夜風


彼女?彼女は確かに俺の関わった女の中ではなかなか変わっている

男とゆうものを知らない。少女漫画の中の恋愛があると本気で思っている。

信じ合って好き合ってそれが永遠だと


純粋に純粋に………








よく言えば無垢、悪く言えば馬鹿。











彼女に対する印象はそれだけだ。だからといって特別じゃない。興味があるのは俺のいつもの気紛れ、暇をまぎらわす材料。


騙そうと近付いたけど失敗した。
それは俺に大きな衝撃をあたえた。おとせないどころか俺自身がバレてしまった




それはそれは愉しくて愉しくて

実にいい暇潰しだ。







また黒崎にはちょっかいをかけるだろう















俺が飽きるまでは…………













 

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