《MUMEI》

 












「…………すいません」

「…………………どうやったらその遅刻癖はなおるかなぁオイ?」

「………………………」











職員室で荒木先生に呼び出しをくらっている最中

椅子に座って私を見据える先生はコツコツ机を指で叩きながら苛立ちを抑えてる様子だった……。











「プリント倍増するぞ」

「すいません」

「…………………」










夜風の様子がいつもと違うことに直感的に気付いた荒木は眉をいっそう寄せながら顔を近付け、






「どうしたお前、」と聞いてきた。夜風は少し目を見開いてから「何がですか?」そう聞き返した。














「いつもと感じが違うだろ」

「変わりませんて」

「下手くそな嘘つくんじゃねーよ」

「……嘘?やだなー先生そんなに私が心配ですかぁ?もー先生ったら私が好きなんですね」

「バットと鉄パイプどっちを口に突っ込まれたい?」

「ギャァァァァァァ!ごめんなさいごめんなさい!先生が言うとマジに聞こえます!」

「マジだからな」








サラリと怖いことを口にする。









「あーそういや次体育だった!んじゃ先生バイビー」

「オイ黒崎!」












舌を出しアホみたいな顔をしながら職員室を出ていく夜風にため息をついた。

















「……………下手くそが……………」


















――――――――スタスタスタ、











「バレてない、大丈夫…大丈夫…」











足元を見ながらただ自分に言うように言葉をつむぐ、夜風は不安定な思考を振り払うように強く目を瞑ってから「よし!」と、気合いを入れて前を向きなおした……












 

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