《MUMEI》 「ふぅ〜」 チャイムが鳴って授業が終わり汗を流した私は持参してきたタオルで顔をふき肩にかけて水飲み場で水を飲んでいた。 水は冷たくて熱のこもった体を一気に冷やしていく 「やっぱ体育のあとの水はいいね、生き返るよ」 青葉はもう教室に戻ってて今この場は私一人、だから独り言も激しい。 いい気分で濡れた口元をタオルで拭いて振り向くと、 「うわ!」 アイツが、灰親楓が笑顔で立っていた。 そしてよみがえるあの不快な夢、 「独り言激しいね」 「………あ、はは、そう……かな」 「…………………」 笑顔から今度は無表情で私を見つめる。 ――――――――やめて、その表情。 夢が鮮明になってしまう。私はそれをふりきるように顔をそむけるといきなりグッ、と顎を捕まれ無理矢理向きなおされた。 驚いて目を見開き身体が硬直する、でも内心を読まれないよう強気に「何か?」と、答えたけどやっぱ動揺が隠せなかったみたいで少し声が上擦った。 アイツは、楓はなおも射るように見つめてから口を開いた……… 「何を隠してるの?」 「………………意味がわからない」 「言ってよ」 「だから、意味が……」 「言わないと怖いことするよ」 「怖いこと?」 ………まさかバイクと私の足首に紐繋げて振り回すとか?トイレに閉じ込めて延々と怪談を聞かせるとか? いや、怖い。それはさすがに泣きたくなる。 「バイクで振り回すのだけは……」 「は?」 キョトンとした楓につられ私もキョトンとする。そして楓は笑い声を上げだした。 「ほんとに君は酷い発想をする。それ本気で言ってる?」 「ち、違うの?」 さっきより和やかになった楓の雰囲気に一安心する。楓は夜風の顎に添えてあった手をおろしまたも押し殺す笑いを続けていた。 「笑いすぎでは?」 「いや、だって、ククク……黒崎が馬鹿すぎて………あーお腹いたい」 「酷い言われようだな私、」 前へ |次へ |
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