《MUMEI》
返事のかわり
「侑くんっ、あのね私、侑くんのことが好きです」

ずっと諦めきれなかった、この気持ち。

それを伝えたい。

どんなふうに好きか、どうなりたいか

うまくなくてもいい、ただ伝えたい。

「……可採さ」

「侑くんが好きですっ。侑くんの一番になりたいです。
用がなくても電話したり、メールしたり

ケーキを半分コしたり、でも私が多く食べちゃって
侑くんはそれを笑って許したり
『手をつなごう』って、そんな言葉ばくても

当たり前みたいに手をつなげるようになりた―――」


続きの言葉は、ぎゅっと抱きしめられた彼の胸の中に消えた。

ちょうど右の頬が侑の左胸に当たって

彼の少しだけ速い心音を感じる。

抱きしめる腕の力はとても強くて

そして温かくて、どんなにきれいな百個の言葉よりも確かに

彼の言いたいことを伝えてもらった気がした。

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