《MUMEI》

空港から戻った俺は
雅人さんの地元をぶらついてた
夜、飯食おうって、待ち合わせしてるんだけど
まだ、時間が早かったから
おっ、洒落たコートだなぁ……イズミ、似合うだろうなぁ…

へ〜え、お洒落な店が並んでる…いい、街だなぁ

あ、クレープ屋さん
車で売りに来てるんだなぁ……イズミが優香と食べたって言ってたの、この店かなぁ…

並んでる………けど、買ってみようかな…

みんな、色んな頼み方してるけど…
注文の仕方がわからなかったから
…おすすめのやつ、一つ下さい
そう、言って買ったんだ

うわぁ………甘い…
……なんか、人の視線が……まぁ、男が一人でクレープ食ってりゃぁ…見るよな…

あんまり気にしなかったんだ

適当に時間を潰して、雅人さんに言われた店に行ったんだ…

路地を少し進んで、曲がったとこにあるその店は
昼間は喫茶店…この時間は、バーなのかな?…

…なんとも入りにくい店だった…
海賊船みたいな、オブジェが店の前に並んでたんだ…
…店の中は、少し薄暗くて、アメリカの映画に出てくる昔風のバーみたいな感じだったんだ…

そこそこ客は入ってた…
…客層が………不良っぽいょ…

ファミレスみたいに、ウエートレスが来たりはしない……
カウンターに座ったんだ

真冬なのに、タンクトップのイカツイお兄さんに、
オーダーを聞かれた

腕には派手な刺青があったんだ…

珈琲を頼んだ…

………出された珈琲は…

んだよ…これ……
でも……俺が知らないだくで…こう言う店なのかな?
甘くてとても、飲めたもんじゃなかったんだ…

スマホをいじりながら、雅人さんを待ってた…

…アンタ…観光客?

知らない女性が、そう聞いて来たんだ
カウンターの中に居るから店員さんかな?

…違うけど…

そう答えた俺に

残さず飲みなよね…
失礼だよ…一口飲んで、もう、冷めてるじゃない……
そう、言ったんだ

無視して、スマホをいじってた

オイ……ボウズ…ミキが飲めって言ってんの、聞こえなかったのか?…

知らない男が、肩を組んで来て、馴れ馴れしく、そう言ったんだ…

その腕を掴んで、外させた……こいつ、喧嘩売ってやがるんだ……
雅人さんの知り合いの店らしいから…揉めたくないけど……

お……生意気だね…
いいかい、坊や…一見さんが来る店じゃねーんだよ……

反対側から、知らない男がまた、肩を組んで来て…タバコの煙を、顔に吐きかけ…そう、言ったんだ

俺、その男の腕を掴み、立ち上がったんだ

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