《MUMEI》
勝負
「それじゃ問題です。
正面から見たら三角形、上から見ると四角形。
これな〜んだ」

「中学の算数の問題じゃないですか。簡単です。四角錐です」

「さすが。じゃあその形をしたものを一つ挙げてくれ」

「う〜ん。ピラミッドがそうじゃないですかね」

「そうだ。つまりはそういうことだ」

「はぁ………どういうことですか?」

「えっ!だからそういうことじゃないか」


……何の話しをしてるんだっけ??
彼は何が言いたいのだろう。

「分からないみたいだから教えてやろう。
同じものを見ているのに見方を変えるだけでそれは違う様に見えるということ。
つまり、三角形も四角形も四角錐もピラミッドも全部ここでは同じものを見ながら言葉を換えているに過ぎない。

つまりは同じことを言っている、ということだ。」

「なるほど。山本さんは話しを聞く時に違った方向から見る、ということをしているから同じ話しをしていない。という訳ですね」

「そうだ。分かったか。
分かったら退屈男というのは取り消すように」

「保留にしときます」
上手いことを言われたのを素直に認められない自分がいた。

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