《MUMEI》 「アレックス、人は平等に幸せになれる権利があるんだよ。君だけが追い込まれるのはフェアじゃない。 約束だ……君が笑ってくれたら私は前に進めそうな気がする。」 アレックスは得意な皇帝のような笑みを浮かべた。 「じゃあ、俺が幸せになったらあんたはジローに告白してくれるんだな?」 自分で首を絞めてしまう。 「……ああ、いいよ……。誓うよ。嘘はもう、つきたくない。」 本音を漏らしてしまう。 いつの間にか、アレックスに屈服したのだろうか。 「誓いを立てよう。」 彼の長い指を二本、私の額に付けて誓約を結んだ。 恭しく私はアレックスにひざまづいた。 彼はさしずめ聖ヨハネ洗礼を受ける者だ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |