《MUMEI》
告白
『前からずっと好きでしたっ!あの、私でよければ付き合ってくださいっ!』

前から好きだった彼。

けれど、彼には彼女がいる。

それを承知して、今日神山 まりえは

ずっと好きだった彼に告白をした。


ありがとう、と彼は真摯な声で言った。

『でもごめん。俺、付き合ってる人がいるんだ』

……うん、知ってた!

胸は痛いけど笑った。

彼に気まずい思いをさせたくなかった。

『私はただ伝えたかっただけだから。言えてスッキリしたよ。
聞いてくれてありがとっ』


それから心配になった。

これで彼は、もう今までみたいに話してはくれなくなるんじゃないかと。

だから言った、なるべく明るい声で。

『あのさ比呂くん、これからも今までどおり
友達としてしゃべってくれるかなぁっ?』

友達でいい。好きという気持ちはまるごと残ったままだけど

何でもない話しをしたり

彼の笑った顔を見ることができなくなるくらいなら

そのほうがずっといい。

うん、と答えるように、彼は静かに笑ってくれた。

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