《MUMEI》
宝物
「のぞ〜。ごはんできたよ〜。」
「はい。すぐに向かいます。」

今日3月3日は、私、村尾 希美(むらお のぞみ)の誕生日。
いつも仕事で帰ってこない親と、アメリカに留学していた姉が家に集まった。
家に家族全員集まるのは、何年ぶりだ。というくらい久しぶり。


パァーンッッ

「のぞ、おめでとーーーーーっ」

部屋に入ると同時に、大きな音が鳴り響く。
迷惑だっての。何をいまさら・・・。

「見て、のぞ。これね、ママとお姉様で作ったんだ〜〜。上手でしょ?」
「おぉ、さすがだなーお姉ちゃんは。」
「でしょぉー??」

褒めてオーラを誰が見ても分かるくらいに出している姉、咲苗(さなえ)。
自分で自分の事を、「お姉様」と呼ぶ姉は、気持ち悪くて仕方がない。
こんなことでくる吐き気にも、もう慣れてしまった。

「ねぇ、それよりお姉ちゃん。知ってた?のぞったら、あの有名校原学に特待生として入学するのよ。」
「うっそー!!んじゃ、もっとお祝いしなきゃ。欲しいものある?」
「・・・・ない、・・・・けど、・・・でも・・・」
「でも????!!!!!」
「お買いものがしてみたいです。」
「おーかーいーもーのー?」

そんなに驚かなくてもいいのに。
なんせ、私は出されたものを着るだけの人ですから。
親が自分の気に入ったものを着てほしいそうだ。

まぁ、今までは自分に関係のない事だと思ってた。
だが、高校には、同じ中学卒業した人は、いないから、新しく人生を歩みたい。
そう思って、買い物にも興味を持ったわけだ。

「お買い物もしたことないなんて・・・、お母さん、どんな教育してきたわけよ」
「ごめんねぇ。何も文句とか言わないから、良いのかと思って・・・」
「まぁいいわ。じゃぁ、明日行こっか。」

なぜに、姉が来るのかわからなかったけど、一応心配なので付いてきてもらおう。
本当に欲しいものは、お金だったんだけど、いいかな・・・。

その後は、御馳走とケーキを食べて、お風呂に入ってすぐに寝た。
ほんの少し、楽しみでいた。

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