《MUMEI》
1日目‐謎の手紙‐
なにも来ない、ただ存在してるだけの郵便ポストに手紙が入っていた。
寂しい話だが俺に友達は1人しかいないし、そいつは手紙を書くような人間ではない。
用事ならメールで済ませるだろうし。
手紙が送られてくるほど親戚には好かれていない。
と言うか、この手紙は悪趣味過ぎる。
真っ黒な封筒に真っ黒な便箋。
字は赤いときた。
その内容も、嫌がらせとしか言い様のないくらい悪趣味だった。

『あなたの余命はあと7日間です。』

差出人はどれくらい俺のことが憎いのだろうか。
7日後には死ぬのか、俺。
まぁ、どうせ捨てられた命だ。
死んでも悔いはないし未練もない。
俺の友人も…まぁ俺が居なくても生きていけるだろう。
さて、この事をアイツに言っておこう。
俺は携帯を取り出した。
その時…

「いやぁ…俺様ってばちょーいい奴じゃねぇ?わざわざ人間に死期教えてやるなんてさー」

ぶつぶつ呟いている目立つ赤髪のお兄さんが歩いていた。
差出人この人?
明らかに怪しいし、この人だな。

「……あの。」
「うえあっ!?」
変な声…。
「これ、貴方が俺に送ったんですか?」
「…え?ちょ…いやいやいや、なんでお前………」
煮え切らない。
それよりも何が言いたいんだ、このお兄さんは。
「少年!」
「はい」

「何故俺様が見える!!」

「…………は?」
「お前生きてるよな?」
「えぇ、まぁ。」
「じゃあ何で俺様が見えるんだ?」
何を言ってる?
「何で…って言われても、見えるものは見えますし。」
訳が解らなくなっていく。

「ねぇママぁー、あの赤いかみのおにーちゃんきれいなかみだねー」
「え、赤い髪のお兄ちゃん?」
………え?
「そこにいるよー?」
「うーん…ママには見えないなぁ…」
え、ちょっと待てよ…。
「…あぁ、そういうことか!」
赤髪の怪しい人物は何故か納得した。

「お前、心が死んでるんだな。だから俺様が見えるのかー。」

……………は?

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