《MUMEI》

少し、痛い目見るか?…

取り巻きが、優香の肩を掴んだんだ

その瞬間、優香に腕をねじられ、
その男の体が、クルッと回り、床に転がったんだ

…ふざけやがって!
容赦しねーからな!

仲間を呼ぶような手招きをし、取り巻き男が言ったんだ

佐久間達は、囲まれてた…
……この店の常連客達に…
この前、俺に恋愛相談をした人が

…お前とは、古い付き合いだが
琢磨に弓引くなら…潰すぜ
取り巻き男に、そう、言ったんだ

………

バカだな、こいつ、佐伯さんの妹に、ちょっかい出すなんてよ……

つうか、琢磨に喧嘩売るなんて……死にたいんじゃね……無謀にも、程があるぜ…

そんな声が聞こえたんだ

…アンタね!
彼女のお兄さんの力を傘にして…私に勝ったつもりなの?!
………情けない男…
性犯罪者の、息子だけあるわね…

佐久間が言ったんだ

周りが静かになった…

優香が、佐久間の前に、歩いていったんだ

取り巻きの男が、優香の前に!

……男達は、床に転がった……

…郵便…こんなに強いの?……

俺からは、郵便の表情が見えない…

…佐久間は、怯えたような顔をしてた…

…わ、私に何かしたら、た、高木さんに言うからね!………高木さん、ちょっと、知ってるのよ…

そう、言った佐久間に

高木組なら、琢磨が潰したわ…
…大元からね…

…この街で、琢磨に弓引くなら…覚悟なさい

静かに優香が言ったんだ

……優香、マスターが珈琲入ったって言ってるぜ…

琢磨さんの声…

……優香が無視してた

琢磨に、土下座しなさい

優香の声は、静かだけど…
………こんな優香を、俺は……あんま…見たくないな…

優香…おいで…

優香に声を掛けたんだ

少し、間をおいて、優香が振り向いたんだ

…はい……

素直に、そう返事をした優香が、俺の前に戻ってきたんだ…

………

佐久間達は、帰って行ったみたいだった

俺、ダーツをやってたんだ
また、引っ掛かれたの?

俺の顔を覗き込み、ミキが言ったんだ

うん…仕事、終わったの?
……うん、…イズミ、何を怒ってるの?…

………なんか、勘違いされてさ…
優香が俺の彼女って…

…くすっ…してたね…
それでかぁ…
…久し振りに、勝負しようか?

……ハンディーは、要らないよ

……みたいね…

………

ミキとの勝負を終え
恐る恐る、席に戻ると
………イズミ、酒飲んでた…

どうだった?

雅人さんがミキに聞いたんだ

…勝てないわ…もう…

飲み込みが早いんだよな……琢磨は…

うん…琢磨にね、勉強方法も、教わったの…
…調理師のことなんか、琢磨、わからないはずなのにね、
……効果覿面なんだ……
何でも、知ってるんだね

ミキにそう言われ

違うよ、俺も勉強方法を教わったんだ…

そう話した俺に

誰によ!…

イズミが言ったんだ……

……………中村さん…

答えた俺に、平手が飛んで来たんだ!

……昔の女の名前、出さないでよね…

……………イズミが聞いたんじゃんかぁ…

…言えなかった…

………怖えぇ…
最強は、イズミだな…
……琢磨をシメれるんだからよ…

後ろの方で、声が聞こえたんだ…

………で、アンタはいつまでも琢磨の隣に居るつもりなの?

優香に、そう言ったイズミに

えへ……持ち帰っちゃおうかなぁ…

俺の腕に抱きつい、優香が言ったんだ

…優香…変わったね…

ミキが優香を見ずに言ったんだ

イズミがミキを見てた…

………イズミ…怒らないの?

優香を見て、ミキが言うと
イズミは

わかってるなら聞かないで
そう、言ったんだ

…優香が俺からは離れた

………………そうなんだ…
ミキ、そう言って、お酒をクイッと飲んだ、ミキだったんだ

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