《MUMEI》
ナチュラルな感じに……
あれからまる一ヶ月、比呂とは会ってない。

顔を合わせた時、比呂が気まずくならないようにするには

はたしてどう言えば一番ナチュラルなのか。

練習してみることにする。

「お、おはよー」

いかーん!ぎこちない、少しでも緊張を伝えてはならぬ!

「あ、おはよう」

……ダメっ、これじゃよそよそすぎる!もっと自然に!


みんなに「いじらしい子……」と目頭を押さえられながら

比呂と会った時のために予行練習をしていると

「はよっ」後ろからボスッと頭を叩かれた。

ふり返ると、制服を着た達哉が立っていた。

達哉は幼なじみで少し元気がよすぎるがとても頼りのしている。

「あっ、おはよっ」まりえもあいさつを返すと

「こんなとこで何してたんだよ?」

と眉間にしわをよせた。

「い、いや、ちょっと練習を……」

達哉は少し不思議そうにしたが

「ふーん、変なやつっ」

と言って、ひらひらと手をふりながら自分の席へ行った。

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