《MUMEI》

そして運命の日。
首都惑星のロード・オブ・ヘヴン・パレスを数億の群集が取り囲んだ。
その名称「天帝の宮殿」に相応(ふさわ)しく、クリスタルのように輝く巨大な搭は、地上から頂きまで二千メートル、東京スカイツリーの三倍の高さを誇る。
その最上階の王座にある、クロノスを守るべき
親衛隊の主力達も、すでに街頭で屍をさらされていた。
迫る破滅を予言するように、ダイアモンドの硬度を誇る搭が、取り囲む群集達の集合念力で細かく振動する。
「警備隊のサイコバリアーを上回る数値の念波が、このロード・オブ・ヘヴン・パレスに集中しております。このままでは、あと六時間でこの搭は倒壊するでしょう」
王座のクロノスの前で、ひざまづいた侍従が、脂汗を顔面に浮かべながら報告する。
「脱出ロケットにお乗りこみ下さい。第二衛星
アテナには、まだ数万の同志がいます。そこで
再起をはかるのです!」
瞑目していたクロノスは、瞼をわずかに細く開いただけであった。
「もはやにべもない・・・・」



その時、

我はゼウス!!

搭の周囲十キロ圏内の者の頭蓋内に、強力なテレパシーがこだました。
群集の海の中から、光るオーラに包まれて上昇して来るその者こそ・・・・、
「ゼウス様〜」
「ああ・・・ゼウス様ぁ」美しい鎧に身を固め、凛々しい面立ちで登場したゼウスを見上げ、女達が身もだえる。

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