《MUMEI》
暴走
朝早くから、雅人さんが、優香とイズミを迎えに行ったんだ

俺、行かなかった…

……今、イズミと会ったら…………

胸くそ悪い……

…メイプルハウスに、新しいバイトが入ったから、俺の役目は終わった…

大学の図書室で、調べごとをしてたんだけど…

………集中できなかった

ムシャクシャしながら、車に戻った俺に

よう……ちょっと面貸せよ
佐久間の取り巻きが、そう言って来たんだ

………そいつの後を付いて、車を走らせてた…
…イズミ達は、そのまま試験場に向かってる頃かな?…

……また、イライラしてきた…

………佐久間の取り巻きが、車を止めたんだ…

そこは、中古車販売店だった…

売れてんのか?…こんな古いベンツとかって…

展示車両には、値段も書かれてなく
ホコリりをかぶり、みすぼらしく飾られてた…

女子が二人居た、ひとりは佐久間だ…

…良く来たわね……逃げ出すかと、思ってたわ…

佐久間が言ったんだ

…能書きはいい…始めようぜ…

俺は佐久間を見据え、そう言ったんだ

ふん…今日はこっちのテリトリーよ…
…この前みたいに行かない……

佐久間が能書き垂れてる間に
取り巻きのひとりの腹に、俺の拳が埋まってた…

腹を押さえてうずくまる男は
自然と顔が下がる…

膝が炸裂した

…男の前歯は、何本か、無くなってたんだ…

乱闘になった…6対1
無傷でいられるほど、俺は強くない…

……殴られる痛みより、俺の心は痛かったのかな?……

木刀で背中を殴られ、一瞬息が止まったけど

目の前の男の鼻を、俺の拳は潰してたんだ

………

息が上がってた…
…温かい物が、額を流れて来てた…

………血だ…

不思議と痛みを感じてなかったんだ…

鼻を潰された男が、フガフガしながら、
手に、光る物を持ってた…
…だからどうした…

構わず突進したんだ

………俺の蹴りが、男の腹に刺さってた

そして、その男の頭を、蹴り倒したんだ

的が外れた…

男の顎は、およそ人の顔とは思えないほど大きく歪んでた…

…顎が外れたんだ…

左腕からも、流血してた……服が裂けてた…

サバイバルナイフの餌食になったみたいだった…

……6人…倒したか…

…凄いねぇアンちゃん……でも、そこまでだ…

声の主を見た

スキンヘッドのオッサンが、声の主だった…
…他に、3人…

ガキじゃない…チンピラにも見えない…
…本物か?……

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