《MUMEI》

血は止まってた…

腕の傷も深くはなさそうだった…

……身体が痛い…

…でも、帰りたくなかったんだ…

………疲れたな…

街道沿いの、広いコンビニの角に、車を止め
セカンドシートに座り、リクライニングさせたんだ……

……頭がクラクラしてた………昨日…寝てないからかな…
急激に、身体がダルクなり…眠気が押し寄せて来たんだ…

…誰かに起こされた…

…………雅人…さん…

何やってんだよ、琢磨、何だこの傷は?!

優香、琢磨の車を運転して帰れ
俺は琢磨を病院に運ぶ!

………どうでもよかった……

なんとなく、言われるままに…

………手当てを受け
処置室から出て、雅人さんの車に乗ったんだ…

…自宅に連れて行かれた……
イズミが居た…

…俺、目も会わさずに
寝室に行ったんだ…

………とにかく、眠かったから…

…………

痛みで目が覚めた…

優香が居た……

……痛むの?…うなされてたよ…

…………優香に、何も答えず…トイレに言ったんだ…
血尿……

…しこたま殴られたからなぁ…

……寝室に戻ると
イズミと雅人さんが居たんだ……だけど…

そのまま布団に入り

言葉も交わさず、また、寝たんだ…

………ズキズキしてた…

でも………誰とも話したくなかったから…

………ありがとう…もう、大丈夫だから…

イズミの声…

…ちゃんと、話してね…

優香の声

………うん…

イズミの声…

………兄さん…私も残るよ…このままじゃ…

優香の声…

…そうしてくれ…
何かあったら直ぐ、連絡くれよな…

うん…兄さん、明日早いんでしょ?
…大丈夫………大丈夫よ…
優香、そう話してたんだ…

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