《MUMEI》

高速道路のパーキングに、車を停めたんだ

……私が言うのもなんだけど……イズミと別れないであげてよ…
…ヤられてないよ…イズミ…私、意識あったから…
一気3杯で、私を帰すって約束で…
…なんか、変な薬盛ったの…見てたんだ…

アサミが、そう言ったんだ
…友達じゃないの?………売ったの?…

そう、聞いた俺に…

………うん…
イズミ…輝いてたから…
………妬みだね…
ボロボロにされちゃえって………

……仲間が欲しかったの?
………どうかな…
自分でも…よくわからない…

……わからない…か…

…今は、バカな事したって思ってるよ…

…………そっか…

…イズミは、悪くない…悪いのは私…

…関係ないよ…
俺はアンタを知らないし……誰が悪くても、俺には関係ないんだ…

………………ちっちゃいね…ヤられてないんだからいーじゃない…

…そこじゃないよ…
そんな場に行ったならヤられて普通だろ?…

だからヤられてないよ、イズミは

どっちでもいいんだよ…そんなの…
………イズミだって、バカじゃない…覚悟の上だったんだろうしね…

……覚悟?…

…高校出たてのガキんちょに、輪姦される覚悟なきゃ…行かねーだろうよ…
……わかってて、イズミは行ったんだよ…
…自分を売った、お友達を助けにね…

……一緒に飲もうって誘っただけよ…

男の部屋でか?…
…言い訳好きだね、お前……

……男なら、大きく構えたら?…

…いいねぇ…孕ませて逃げる彼氏を持つだけあるよ……気持ちの重さも無く、うわべのかっこよさにうっとりしてんだろ?…

好きだから許せない…当たり前のことじゃねーのか?
俺に能書き垂れる前に、友達売るの、止めたらどうだ?…

……………わかった…
私とやっていいよ…
…中に出しても問題ないわ…………気が晴れるでしょ?

…悪いな…安い女に興味はない…

………じゃぁ、どうするの?

…少なくとも、お前には関係ない話だ…
…イズミがお前を大切だからしたことだろ…
…俺は、それを理解出来ないだけだ…

………止めるよ友達…

軽いね…
…イズミの気持ちにも、答えられないんだな…
…つまらねー女だな…お前…家どこだ?、送るよ…

そう言って、車を走らせ出したんだ

アサミの自宅前に着くと、親が飛び出して来た

…お前か?!家の娘をよくも……降りろ!

父親が怒鳴ってた

じゃかーしぃ!!

ワザワザ送ってやったのに、何だ、その物言いは!

俺、キレた…

お父さん違うよ、その人は…とも……イズミの…彼氏…

…な、なんて口の聞き方する奴なんだ…
アサミ、こんな人たちと付き合うから、そんな事になるんだ!

…バカじゃねーの…貧乏人…勝手に言ってろ

な、何だと、子供のくせに
バーカ…アンタの生涯賃金なんざ、俺の月収だ…
…人みてモノ言えや…

そう言って、車を走らせ出したんだ…

………性格…悪いよ…

イズミが言った

………………自分でも、そう思ったから…
…何も言わなかったんだ…

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